この記事では、株式投資における配当金の増額(増配)について考察しています。
キーワード:増配株、YoC(Yield on Cost)、配当再投資、長期投資
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なぜ今、増配株なのか?
2016年5月から高配当株でキャッシュフローを確保する戦略をとってきましたが、最近増配株もいいなぁと思うようになりました。
理由は以下3点です。
- 初期に仕込んだ株の累計配当金額が取得金額を超えそう。(恩株化)
- 配当金が一定額を超えて、再投資のハードルがグッと下がった。
- 増配により、YoC(Yield on Cost;取得金額に対する配当金)の重要性が肌で理解できた。
特に、最後のYoCの向上についてはFIRE(financial independence retire early)に必要な資産額を減らす効果があると考えられます。
高配当株だけで到達するには難しい目標であっても、増配株と組み合わせることで実現可能性を上げられると考えています。
このあと少し掘り下げていきます。
ここまで高配当戦略だった理由はキャッシュフローの確保にあります。というのも、不労所得で生活できればハッピー!と考え、目先のキャッシュ(配当金)の確保を優先したからです。
しかしながら、2025年の一年間の実績を見ると、日本円換算で1,419,529円(税引き後で1,160,128円)の配当金・分配金を受領していました。
つまり、昔のNISAの上限額である120万円くらいが不労所得として入ってくる状況です。
ここまで配当金が積みあがると、目先のキャッシュだけではなく、将来のキャッシュを考える余裕が生まれました。
言い換えると、将来の高配当株を今から探索する余裕ができてきた、ということです。
昨年から配当金再投資を計画的に行うようになりましたが、ある程度まとまった金額で再投資するため、配当金の増額という形で成果が可視化されて、モチベーションを高い状態で維持できています。
このように、資金面でハードルは下がる一方で、モチベーションは高いまんまです。
さらに、投資歴10年を超えて、一部の銘柄で累計配当金額が取得金額を超える未来が見えてきました。
具体的な銘柄や数字は後述しますが、当初は想定利回り4%だったので、配当だけで元を取ろうとすると25年、「72の法則」で考えても18年かかる想定でした。
72の法則:複利で運用した場合、「72 ÷ 利回り(%)」で金額が2倍になるのにかかる時間を計算できる。ここでは元本が2倍になったら元を取れる、という意図で書いています。
にもかかわらず、10年ちょっとで元が取れるというのは、紛れもなく増配の効果です。
増配はただ単に元が取れるまでにかかる時間を短くしてくれるだけではありません。
それどころか、FIREの実現性を高めてくれる最強の味方と言っても差し支えないと思います。
これはYoC(取得金額に対する配当利回り)を考れば理解できると思います。YoCは次の式で計算できます。
YoC(Yield on Cost)=年間配当金額 ÷ 取得金額
一般的に、成長投資が少ない場合、株主への還元が求められるため、配当利回りが高い傾向にあります。また、成長への投資が少なくなるため、配当金額も含めた今後の成長の余地があまり大きくないとも言えます。
一方で、成長のために投資をする企業は、配当に回せるお金が少なくなるので、配当利回りは低い傾向にありますが、これからも配当金を増額してくれる可能性があります。
つまり、取得金額が同じ高配当株と増配株を比べると、初期は高配当株の方がYoCの数字が良好ですが、時間が経つにつれてだんだん増配株が追い上げていき、いずれは増配株>高配当株となります。 ※ここまで来るとどっちも「高配当」ですが…。
新NISAは取得金額枠が決まっているだけで、そこから出てくる配当金は非課税のままです。このため、今から増配株をNISA口座で積み重ねることで、成長し続ける配当金を非課税で受け取れることになるので、FIREと非常に相性が良いのです。
以上をまとめると、長期で増配株に投資することでYoCが徐々に改善されるのでFIREにもピッタリ、ということです。
次の章で実際のデータを示していきます。
データから見た増配の威力
ここからは実際に私が保有している銘柄で、配当金の成長を見ていきたいと思います。
若干↑と矛盾してますが、高配当株として買ったはずが実は増配株だった、という形です。
【8031】三井物産は2024年7月1日を効力発行日として1株→2株にする株式分割を行っています。
今回は、この株式分割を考慮した配当実績を示しています。
グラフを見ると、2021年あたりから年間配当金額の上がり方が変わっているのがわかりますね。

はじめに、(私の場合の)取得金額は以下のとおりで、株式分割後で計算すると618.75円/株です。

この取得単価でYoC(%)を計算すると以下のとおりで、2025年度は驚異の18%オーバーです。
参考までに、取得金額247,750円に対して、回収金額が200,247円(税引き後)なので、回収率は約80%です。
このように年々増配する株が、ゆっくりながら着実にYoCを押し上げていることが分かります。
| 年度 | 中間 | 期末 | YoC |
|---|---|---|---|
| 2016 | 12.5 | 15 | 4.4 |
| 2017 | 15 | 20 | 5.7 |
| 2018 | 20 | 20 | 6.5 |
| 2019 | 20 | 20 | 6.5 |
| 2020 | 20 | 22.5 | 6.9 |
| 2021 | 22.5 | 30 | 8.5 |
| 2022 | 32.5 | 37.5 | 11.3 |
| 2023 | 42.5 | 42.5 | 13.7 |
| 2024 | 50 | 50 | 16.2 |
| 2025 | 50 | 60 | 18.6 |
長期投資で増配株を保有することは、YoCを押し上げる効果が期待でき、目先の高配当株よりはるかに高い利回りをもたらしてくれるのです。
増配株と高配当株の役割分担
インカムゲインを狙う投資において、増配株と高配当株の役割は、時間軸によって整理できると考えています。
インカムゲイン狙いの場合、初期は高配当株に資金を投下することで、キャッシュフローを確保するのが合理的だと考えています。
資産形成において大事なことは市場に居続けることですが、ライフステージの変化により資金を投下できなくなる可能性もあります。
この時に、高配当株から入ってくるキャッシュがあれば、市況やライフステージの変化に対する緩衝材として働いてくれるので、精神的にも経済的にも安定した状態で市場と向き合うことができます。
つまり、初期~中期は、長期の資産形成に向けた土台をしっかり作りこむ段階です。
ちなみに、資産形成効率を重視するのであれば、間違いなくインデックス投資に軍配が上がります。
長期(今回の【8031】三井物産の例では10年以上)で考えると、増配株の方がYoCが高くなる可能性が高くなります。
このため、長期投資では時間を味方につけて増配株が成長していくのを待つ段階に入ります。
そうすれば増配株として買付けたものが、いつの間にか高配当株化しているはずです。
ここで1億円を高配当株で運用してFIRE生活をおくるケースを想定すると、4%くらいで運用して年間400万円、税金が引かれて約300万円になります。
一方、増配があるものとした場合、取得金額に対する配当金(YoC)は上がることになり、同じ年間400万円の配当金を得るにしても、そこに必要な株式数は少なく済みます。
それだけでなく、増配によってさらに配当金の総額が膨らむ可能性さえあります。
↑の三井物産のようにYoC4%とYoC18%での運用を比較すると、同じ金額を受け取るのに必要な元本が減ることは明らかですよね。
ちなみに、上記のYoCで計算すると、三井物産の株だけで年間400万円を得るのに、結構な株式数が必要です。
| 必要株式数 | |
|---|---|
| YoC_4% | 145,454 |
| YoC_8.5% | 76,190 |
| YoC_18% | 34,782 |
もちろん毎年増配するとは限りませんが、そこに対するリスクヘッジとして高配当株を持っておけば、しばらくは高配当株からのキャッシュをうけとりつつ、増配株が時間とともに成長するのを気長に待つことができます。
特に私の場合、配当金受領額をKPIに設定しているので、増配株の存在は非常に重要です。
増配株をどう探す?
結論から書くと、私もまだよくわかっていません。
ですが、増配できる企業は、事業の成長性や利益の質、キャッシュフローなどの財務余力を見ることである程度絞り込むことは可能だと思います。
そもそも配当金はおサイフに余裕がないと出せませんし。
また、連続増配にこだわらず、増配してくれる株に注目すれば候補となる株はもっと増えるでしょう。
まとめ
増配株は、長期投資によって目先の高配当株を上回るYoCをたたき出す可能性を秘めた、とんでもない武器だと言えます。
とはいえ、まだ配当金が高くないものもあるので、高配当株の土台を作ったうえで、時間を味方につけながら増配株を載せていくことで、FIREの金額的なハードルを下げることができると考えられます。
資産形成の効率を求めるならば間違いなくインデックス投資が有利ですが、FIREや精神的な安定を求めるなら高配当株の方にメリットがあると考えます。
この高配当株のデメリットである効率の悪さをカバーするためにも、時間を味方につけた増配株はポートフォリオに欠かせない存在になるでしょう。
増配株のスクリーニングは、これから検討していきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。

